電車の風景

1999年開設したHP「阪神電車の風景」の書庫としてスタートしました。 阪神以外にもテーマを広げていくため「電車の風景」と変更しました。

2024年07月

DMM.makeにデータをアップロードすると、DMM.makeで自動見積もりされます。多種多彩の材料が用意されておりプリント可能な材料の見積もり結果が見られます。
模型用の材料は積層ピッチができるだけ薄い方が良いわけで、0.05mm以下のものを選ぶと選択肢が絞られ、「高精細プラスチック」「高精細アクリル」がよく用いられます。高精細な反面、価格も高いので大きな部品は作りにくいのですが、「エコノミーレジン」が1/3程度の価格なので、今回は側板でこれを使ってみることにしました。
平面的に部品を並べて、材料別にまとめてプリント発注しました。
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発注後データチェックが行われ、プリント不可の場合はキャンセルされますし、薄肉など問題箇所の指摘もしてくれます。数週間後、届きました。
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「高精細プラスチック」でプリントした部品です。0.5mm程度の形状も無難にできました、が、一部取り扱い中に折れてしまいました。
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屋根部分も「高精細プラスチック」でプリント。パンタグラフからの電線も綺麗にプリントされました。

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冷房装置にはメッシュ部があるので「高精細プラスチック」にしました。

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上2枚が「高精細プラスチック」でプリントした窓枠部品です。
下2枚は「クリアアクリル」製の窓ガラス、ヘッドライトです。(テールライトも作りましたが小さすぎて使えませんでした;)これは研磨するときれいに透明になるそうで、そのように設計しましたが、意外にきれいにできたのでそのまま使いました。(結果、室内を見ることができなくなりましたが)

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窓枠部品は精細にできましたが、細くて弱いので窓ガラスに嵌めて使うようにしました。
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側板は塗り分け線で分割しました。「エコノミーレジン」で出力しました。型番や社章もプリントでき、そこそこの解像度がありました。
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床下と客室床は塗り分けのため別体にしました。これも「エコノミーレジン」です。床下機器のうち、コンプレッサーと抵抗器は細かいので別体にして「高精細プラスチック」にしました。
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側板と窓を仮組みしてみました。材料の差で収縮率の違いがあり、はめ合いがキツくなって、枠の一部が破損してしまいました。しかし材料の値段差は大きいのでほぼ意図通りと言って良いでしょう。次回?は嵌合隙間を広げた方が良さそうです。
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コンプレッサーはC-2000M。写真からでは形状がよくわかりませんが雰囲気は出たかも。ものすごく細かく模型設計された人がいるのですがどこかに図面があるのでしょうか。

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ブレーキ用抵抗器も碍子がたくさん並んでいるので高精細プラスチックにしました。
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両面テープで仮組みしてみました。
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台車はFS343です。3Dプリントしやすいように台枠を一体化し、各部を大型化誇張しましたが走行用では無いため雰囲気は出たと思います。
材質は「エコノミーレジン」で節約しました。

プリントがこれだけ遅れたのは設計データに「シェル」がたくさんあり価格が上がっていると指摘を受けたためでした。
台車は構造が複雑で、ブレーキなどの機構をできるだけ忠実に設計してみたのですがそのためバラバラの部品がうまく一体化できなかったようです。
この「シェル」は一つのボディであっても、空洞などがあるとカウントされるそうで、今回当初50シェル程度あったものが、DMM.makeで修正してもらい1シェルになりました。その結果価格が1/4に下がるという驚きの結果でした。

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運転席もできました。
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1月に唐突に、3Dプリンタによる鉄道模型を作りたいと思ってしまいました;)。
ちょうど体調面でアウトドアを控えていた時期で、インドアの趣味も良いなということでしたが、かつて急に思い立ってNゲージ分割式レイアウトを作って部屋を塞いで家族のひんしゅくを買っていたのも忘れていました。

作るのは阪神電気鉄道5151形の電機子チョッパ制御、冷房改造した1980年ごろの車両にしました。
今回はDMM.makeで3Dプリントを依頼することを前提に、いきなり小さいNゲージでは難しいので、1/80スケールの模型にします。

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阪神5151形
1964年、初期ジェットカー最後の増備車として5151、5152の2両だけ製造された。単行できる形式が運用上不足したため で、600V時は一台に2基大型パンタグラフが付いていたが1500V昇圧時に運転台側だけになった。その後もパンタ撤去跡は通風機もなく、特異ながら地味な存在だった。

1980年、5231形の冷房改造テスト用に、先行改造された。同時に電機子チョッパ、回生ブレーキが付いた阪神初の省エネカーと なって、結局5231形が廃車される中生き延びた唯一の(経済車ではない)初期ジェットカーになった。しかも小型の下方交差ながら「前パン」を維持していたが、1995年阪神大震災により破損、廃車。震災による唯一の形式消滅となってしまった。(1999年記述)

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このように筆者が子供の頃見ていた、初期型ジェットカーのうち唯一冷房改造されて1995年まで生き延びていた形式で、前パンでもあって好きな車両でした。
さらに、「鉄道ファン」誌に車両紹介と形式図面が載っていたことと「サイドビュー阪神」に、すでに廃車になっていたのですが、鮮明な写真が載っていたことも好都合でした。

筆者は図面を書いて飯を食っていた人間なので、3DCADも「プロ」(アプリ使用技術は甘アマ;)でしたが、定年後の自宅では使えません。
しかし「Autodesk Fusion 360」は個人で使え、しかも機能限定ながら無料の3DCADアプリが自宅パソコンで動くすごい時代になりました。会社で使っていた3DCADとは違いますが、機械設計用途のCADとして共通点も多く慣れてきたところです。

ここから3DCAD設計の様子です。
模型用の設計をするのは初めてですが、他のブログや動画を参考に進めていきます。
まず、参考資料の形式図面とサイドビュー写真をキャンパスに取り込みます。
図面に記載されている寸法には忠実に、そこに現れていないものは写真をもとに推定で作図します。

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前頭部

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先頭形状は印象を決めるので、慎重に進めます。おでこのRのつながりは図面に無いので、何通りか試して印象の良いものにしました。

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窓配置も大まかには図面に書かれていますが、Rなどは写真から推定です。またスケッチ線の定義が確実になされていないと後で困ることになるので確実に定義します。
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全体形状ボディに側面を配置します。
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車体ボディ
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冷房装置も作成します。
今回は試作的に、塗り分け線の上下を別パーツにして塗装のマスキングを省略しました。
窓のサッシ、安全棒も別パーツにしてみました。塗装が相当楽になりますが、一方でほそい部品になるので構成を工夫しました。
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床下機械は写真では見えにくいので想像です。ここを詳細に造形できる人はどんな資料があるのでしょうか。
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台車は住友金属のFS-343です。ネットに組立図面がありましたので参考にします。台車の構造は難しい。

ところで鉄道模型の1/80スケールは日本型車両のHOゲージになります。しかし線路幅は国鉄の狭軌1067mmの場合約13mm、阪神など標準軌1435mmの場合約18mmとなり、HO模型の16.5mmにはなりません。これは海外の1/87スケールでできた16.5mm線路に日本型車両を走らせるために編み出されたのが1/80スケールという話なのですが、これ以上は語れません。

今回はディスプレイモデルなので1435mm/80=17.9375mmで設計をしています。


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中空軸平行カルダン駆動方式なので車軸に平行にモーターが配置されています。
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完成図です。
正面図(梅田側*奇数番なので)
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側面図(山側*阪神の場合北の六甲山側を言う)
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側面図(浜側)

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背面図
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平面図
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底面図

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斜視図
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斜視図
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車内断面図
ロングシートを作ってみました。側板に窓枠部品、窓部品を嵌め込む設計にしてみました。
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断面図
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断面図 運転台も一応作りました。
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運転台 2ハンドルの雰囲気が出ているかな。
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レンダリング
このアプリはレイトレーシングもできます。
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材料、色指定もできます。今回の場合、見た目だけです。
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完成後、3Dプリンタにかけやすいように板状部品にばらしました。
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 これを3Dプリント用データ形式(今回はstep)に変換してDMM.makeにアップロードして発注します。

阪神電車関連の書籍その2です。

今回始めたのは、これからブログ記事にする予定の「阪神5151 1/80模型」を製作するにあたり、3DーCAD図面化するための資料を探していて書庫から引っ張り出したのを機会に、整理したものです。

1980年「鉄道ファン」8月号 No.232
1977年に3801形増備車、新5001形の紹介が載りましたが、少しでした。むしろこの時の5151形電機子チョッパ制御改造記事の方が大きく載り、鉄道ファン得意の形式図面もついていました。

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5151形改造車
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形式図面
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裏面には同時に改造された5311形の図面
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「サイドビュー阪神」
1996年5月31日発行 レイルロード
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5151形の図面に関する資料は以上。さらに所有書籍資料を並べてみます。
2000年以降
2017年「鉄道ピクトリアル」12月臨時増刊号No.940 特集 阪神電気鉄道
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2020年「鉄道ピクトリアル」10月号No.978 特集 さよなら阪神赤胴車
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2022年「鉄道ピクトリアル」11月号No.1005 特集 阪神青胴車の記録
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「とれいん」2016年1月号No.493 特集 阪神電鉄・山陽電鉄
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弘済出版社「鉄道ダイヤ情報」2019年3月号No.419 特集 阪神電車
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他にもいつの間にか阪神関連本が増殖していきました。
「キャンブックス阪神電車」 JTBパブリッシング 岡田久雄著 2013年7月1日初版発行
「阪神電車ぶらり途中下車」 フォト・パブリッシング 山下ルミコ著 2019年8月5日第一刷発行
「阪神電車街と駅の1世紀」 彩流社 上野又勇編 2012年12月31日第一刷
「昭和平成 阪神電気鉄道沿線アルバム」 アルファベータブックス 辻良樹著 2021年7月5日第一刷

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「阪神電鉄・山陽電鉄 昭和の記憶」 彩流社 辻良樹著 2015年1月5日第一刷
「阪神電気鉄道 1950〜1990年代の記録」 アルファベータブックス 生田誠、牧野和人著 2016年12月5日第一刷
「阪神3011 車両アルバム20」 レイルロード編 2015年4月30日発行
「大手私鉄サイドビュー図鑑15 阪神電車」 イカロス出版 2024年8月25日初版第一刷発行


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昔は阪神電車関連書籍は少なかったのですが、ここ20年でたくさん出てきたようです。
以前は阪神電車と言えば小型車という世代から大型車以降を記録してきた世代に変化し、さらに阪急阪神ホールディングスになり、なんば線開通後阪神電車自体が変化したことも影響したのかもしれません。あとはオタク文化が広まったためかマイナー鉄道関連グッズも増えたためでしょうか。
筆者も昭和の人間なのでそろそろ最新の収集はやめるつもりでいますが。。果たして?

(1999年記述したものの再掲です)

筆者所有の阪神電車関連参考資料です。中には古本屋に通ってやっと手 に入れたものもあります。

・「私鉄ガイドブック5 阪急/京阪/阪神」
 誠文堂新光社 慶応義塾大学鉄道研究会著 1967年12月発行1973年2月第三版
 
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東京神田の交通博物館の売店で入手した貴重品。
長らく筆者のバイブル的刊行書でした。各社の形式集で写真と短いコメントが1ページに納まった資料集。
写真は唯一阪神電車のカラー写真ページ。

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筆者がこの本で一番気に入っていた写真。
阪神魚崎駅東方の写真で、まだ軌道をかさ上げする前、1966年頃ではないか。白壁の倉も壁が白く新しい。1995年阪神大震災で倒壊してしまいました。

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筆者の写真 1983年
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筆者の写真 1979年、書籍の写真より魚崎駅寄りで撮ったもの。
白壁の倉も健在。軌道がかさ上げされたのは南北に走る道路に神戸市バスが通るため、ガードの頭上高を上げるためだったと聞いている。付近が下水道工事をし た時期に行われた。同時に魚崎駅も地下改札化された。
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長い間古本屋で探し続けた「鉄道ピクトリアル」1966年1、2,4月号。
先の臨時増刊にも参考資料として出ていた。
小型車が全廃される頃の阪神電気鉄道の記事が出ている。

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「鉄道ピクトリアル」で有名な「私鉄車両めぐり」に初めて阪神電気鉄道が出た。
専用軌道線つまり現在ある阪神電車の創業期から1966年当時までの各形式の記事。
しかし、併用軌道線、国道線、甲子園線、北大阪線の記事を残して、未完に終わっている。
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「鉄道ピクトリアル」では貴重なグラビア写真。見開き二ページだけだが、ここでしか見られない写真が多い。
生まれたてのジェットシルバーの写真が貴重だ。
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「鉄道ピクトリアル」1975年2月No.303臨時増刊号 阪神電気鉄道特集。
当時少なかった趣味誌での阪神情報として貴重だった。3901形の表紙だが駅は山陽電鉄須磨駅。

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保育社「カラーブックス」このシリーズはなかなか良い資料でした。
左、1982年2月発行。右、1989年10月発行。著作は共に阪神電気鉄道車両部の方である。
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「鉄道ピクトリアル」1980年3月号No.373
先の臨時増刊号「私鉄車両めぐり」の補遺として記事が2号に渡り載っていました。
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「ヤマケイ私鉄ハンドブック5 阪神」
山と渓谷社刊。1982年6月発行。解説 吉川文夫、写真 広田尚敬。
広田尚敬の写真が印象的な本です。魚崎駅付近の写真も用いられていて、やはり阪神間でも魚崎の風景はプロの写真家の目に も留まるくらい良いのだなあ、と思ったものです。
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「鉄道ピクトリアル」1985年8月臨時増刊号No.452 特集 阪神電気鉄道
この年阪神タイガースが優勝したので、ピクトリアルの阪神特集は縁起が良いとされた。
この時読者からも写真提供が募集されたので筆者も送ってみました。

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巻頭のカラーグラフ。一番上の「新5001形」の写真は下の写真です。
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保育社 「私鉄の車両21阪神電気鉄道」 1986年10月発行。のちに復刻されました。

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車両発達史シリーズ7 阪神電気鉄道
関西鉄道研究会 藤井信夫著 2002年(平成14年)4月28日発行
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弘済出版社「鉄道ダイヤ情報」1995年3月号No.131。
震災直前の取材記事で構成され、「おことわり」で現状と異なる旨の記載がある。この時点で、阪神電車はまだ部分開通の状態だった。
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「鉄道ピクトリアル」1997年7月臨時増刊号No.640 特集 阪神電気鉄道
阪神タイガースが優勝したのはこれからさらに6年後の2003年。
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